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 マルチ商法

友人に誘われて参加した投資セミナーで、投資会社の社員を名乗る男性から「入会金30万円を出せば儲けられる」「人を紹介すれば紹介料が入る」と、投資セミナーへの入会を勧誘されました。お金がないと断りましたが、「借金すればよい」「すぐ返済できる」と言われ、学生だと借金できないので結婚式の費用として借りるように指示され、消費者金融から30万円を借金して、代金を友人に手渡し、入会しました。よく考えると怪しいのでやめたいのですが、キャンセルできますか。

マルチ商法は、「特定商取引法」で「連鎖販売取引」として規制されている販売形態です。 ネットワークビジネス、システム販売などとも呼ばれ、商品を買って販売組織に参加した会員が、同じように友人・知人を組織に加入させ、新たに会員になった人がさらに新しい会員を加入させ組織を拡大していく商法です。勧誘時には、マルチではないと説明されることも多く、また会員になるために購入する商品の対価も高額なことが多いため、経済的にもそして、販売員の個人的な信頼関係などを利用して口コミで販売員を増やしていくことから、人間関係も破綻する危険が高い取引です。販売のしくみは、再販売、受託販売、販売あっせんのいずれも対象となり、すべての商品・サービスが対象となります      
口コミだけではなく携帯電話やパソコンのメールや交流サイト(SNS)の広告で勧誘する手法も、広がっています。
販売経験のない参加者が、にわか仕立ての勧誘員となるものであり、また自分の下の販売組織の販売実績からマージンが得られるシステムは、「誰でも儲かる」「簡単に儲かる」ビジネスではありません。ビジネスに参加した多くの消費者は、ビジネス参加のための出費や負担だけで、ほとんど利益が得られないという事態に陥ることから、問題が多い取引であるため、特定商取引法で厳格な要件が定められています。

・マルチ商法(連鎖販売取引)であるかどうかのキーワード

 特定利益と特定負担です。
特定利益とは、「あなたが勧誘して組織に加入する人が購入する商品代金の○○パーセントがあなたのものになる」等です(リクルートマージン、スリーピングマージンなど)。ただ最近では、契約後に特定利益について説明する手法を用いていることもあり、注意が必要です。
特定負担とは、組織に加入する時や加入後に取引条件を変更するときに条件とされる商品の購入代金や、サービスの対価の支払い、取引料(入会金・リクルート料・登録料・保証金・スターターキッド代金など)、研修費用の提供料等の金銭負担のことです。経済的な負担であれば、すべての名目が対象となり、金額は問いません(1円でもよい)。

マルチ商法の被害救済
 

■クーリング・オフ
 
契約書を渡された日から20日間は、どこの場所で契約しても、どんな商品でも、無条件で解約ができます。解約通知をハガキに記載して、特定記録郵便で事業者に送付してください。(信販契約をしている場合には、信販会社にも通知を出しましょう。) また、電子メール等で通知することもできます。
 なお、販売員になった者が、本部や親会員から商品を仕入れて、自分の下の会員に卸売りするタイプの取引である「再販売取引」の場合は、契約書面の交付日か、仕入れた商品が最初に引き渡された日のいずれか遅い日から20日間はクーリング・オフできます。
 また、クーリング・オフはできない等と言われたりするなど、クーリング・オフ妨害があったときは、20日が過ぎてもクーリング・オフすることができます。
                           クーリング・オフ

■中途解約
 
いつでも中途解約ができます。
  さらに、新規に契約をした消費者が入会してから1年以内に中途解約する場合には、商品の引渡しから90日以内の未使用・未販売の商品は、最大でも販売価格の1割の負担で返品できます(なお、この点については、事業者が日本訪問販売協会の会員の場合には、協会の自主行動基準により、90日ではなく返品申出日から遡って1年以内に契約した未使用・未販売について、1割負担で返品を可能にしています)。

■取消
 統括者や勧誘者がサービスの内容や効果について事実と反することを告げ、消費者が誤認をして契約した場合や、事業者が故意に不利益事実を告げず消費者が誤認をして契約をした場合には、特定商取引法・消費者契約法で取消ができます。
あきらめずに、最寄りの消費生活センターなど相談窓口に相談しましょう。

アドバイス

 

連鎖販売取引は、契約内容が複雑で分かりにくく危険性のある取引であることから、契約締結前には「概要書面」の交付が、契約締結後には「契約書面」の交付が義務付けられています。
 これらの書面を交付しない事業者は、法律の規制を守らない事業者ですので信用してはいけません。また、ネズミ講(法律で全面禁止されています)であることをカムフラージュするために、一見、連鎖販売取引の商品販売組織のように装う業者もあります。当初、経済産業省が行政処分した際には連鎖販売業者として処分を行い、その後警察がネズミ講で摘発した事業者もあります(アースウォーカー)。
 建前と実態の違いを刑事摘発できるところまで把握するためには、時間がかかり、その間に被害が広がってしまう場合があります。
 友人に勧められた際や説明会に参加した際に、法律で禁止された行為に触れる言動はなかったか、自分は販売員になれるのか慎重に判断しましょう。勧誘しているのは、友人であっても契約した責任をとるのは自分です。問題があれば、最寄りの消費者被害相談窓口に相談しましょう。


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