内閣総理大臣認定の適格消費者団体が、消費者契約法や特定商取引法、景品表示法に違反する事業者の不当行為に対する差止請求を行うのが、消費者団体訴訟という制度です。
2006年の通常国会で消費者契約法改正により導入され、2007年6月7日から施行されています。
従来の訴訟制度では、消費者被害に対しては、被害を受けた消費者しか訴訟を起こすことができませんでした。内容も、被害を受けた消費者が自分の被害を回復することに限定され、新たな被害拡大を防ぐことができませんでした。その意味からも、この消費者団体訴訟制度の創設は消費者の被害防止、拡大防止にとって大きな前進と言えます。
私たちNPO法人京都消費者契約ネットワーク(KCCN)及びそのメンバーは、制度に先駆けて事業者に対して、不当な契約条項ついて改善の申し入れを行い、建物賃貸借契約の不当な原状回復条項を無効とする判決を獲得するなどしてきました。このことは、制度の必要性や消費者団体に制度を使いこなす力があることを示し、団体訴訟制度実現に大きな役割を果たしました。
この制度は京都の消費者運動に取り組む人々を始め、多くの人の力によって実現されたものであります。
KCCNは、2007年12月25日に内閣総理大臣から適格消費者団体の認定を受けました。今後は適格消費者団体として、積極的に事業者の不当行為を差し止めていきます。
消費者契約法は、消費者と事業者の情報力・交渉力の格差を前提とし、消費者の利益擁護を図ることを目的として、平成12年4月制定、平成13年4月に施行されました。
消費者と事業者の間で締結される契約(消費者契約)について、一定の場合に、契約の取消しや条項の無効を認めるものです。
消費者契約法は、消費者と事業者との間のすべての契約に適用されます。
不当な勧誘や不当な契約条項は適格消費者団体が差止請求をすることができます。
不当な勧誘・・・不実告知
断定的判断の提供
不利益事実の不告知
不退去
退去妨害
過量契約
不当な契約条項・・・事業者の損害賠償責任を免除する条項
消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項
消費者の利益を一方的に害する条項
景品表示法は、不当表示や不当景品から消費者の利益を保護する法律です。
商品やサービスの品質・価格等を偽って消費者を誤認させる不当な表示に対して、適格消費者団体が差止請求をすることができます。
優良誤認・・・商品や役務の品質、規格などの内容についての不当表示
有利誤認・・・商品や役務の数量、価格などの取引条件についての不当表示
特定商取引法は、消費者と事業者の間でトラブルを生じやすい取引類型について、消費者の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとするため、事業者が守るべきルール(行為規制)と、クーリング・オフ等の消費者を守る民事ルールを定めています。
特定の取引における不当な行為に対して、適格消費者団体が差止請求をすることができます。
不当な行為
●不実告知、故意の事実不告知、威迫・困惑等の不当な勧誘行為
●著しい虚偽表示又は誇大広告等
●クーリング・オフを無効とするような特約又は契約解除等に伴う損害賠償の制限を超える額の特約等を含む契約の締結など
対象となる取引
訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入
食品表示法は、消費者が食品を摂取する際の安全を確保し、消費者の自主的かつ合理的な選択を確保するとともに、食品の生産及び流通を円滑化するために、事業者が守るべきルール(食品表示基準や行為規制)を定めた法律です。
食品関連事業者の行った食品表示基準違反の表示行為に対して、適格消費者団体が差止請求をすることができます。
食品表示基準違反の表示行為
不特定かつ多数の者に対して、食品表示基準に違反し、販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示をする行為